茅ヶ崎漁港建設と海岸侵食（ＨＰ版）

　　　　　　 　茅ヶ崎漁港は昭和32年に沖の岩礁沿いに南防波堤205メートルが完成したが、
　　　　　　　その後一時中断した後、昭和47年に建設再開して、西防波堤347メートル、
　　　　　　　東防波堤348メートルが昭和62年に完成した。
　　　　　　　この漁港建設がどんな海岸浸食を引き起こしたかを見てみよう。

　　　　　　　(注）県所有の航空写真はクリックすると別ページで少し拡大され、さらに画面をクリック
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	「茅ヶ崎漁港」 長年、地引き網が主流であった茅ヶ崎の砂浜に昭和６２年、 漁港が完成した。 （釣り情報より写真を拝借させて戴きました。）
	「相模川河口の砂洲？」 河口の砂洲は僅かに残っているが、茅ヶ崎漁港の建設進展に 伴う変化を見てみよう。 （釣り情報より写真を拝借させて戴きました。）
	「昭和44年の砂洲」 神奈川県の資料室にある航空写真は昭和29,39,44年とあるが、 昭和22年に海岸への砂補給を遮断したと言われる相模ダムが 完成しているのにも拘わらず、最初の昭和２９年の砂洲が特異 的に海側に突き出ているが、３９年、４４年とその砂洲はほとんど 同じ形を保っており、砂洲が侵食された形跡は見当たらない。 （辻堂から茅ヶ崎の海岸は戦後、米軍の演習場“チガサキ・ ビーチ”であって、日本に返還されたのは昭和34年6月：出典、 平成27年8月12日の産経新聞。　これから言っても昭和29年の 砂洲は特異点と見るべき！） ４４年の写真で下記の如く砂洲の変化の目安を決めて、更に 次の航空写真をチェックしてみよう。 写真における陸上のスパンABは時代によって距離は変わらな いので、これに対してA点から波打ち際のC点までの距離ACは 砂洲が変化すると変わることから、 　AC／AB＝０．８５　であるが、この比がどう変化するかを チェックしたい。
	「昭和48年の砂洲」 昭和47年に再開された茅ヶ崎漁港の建設は、昭和48年では 西防波堤が僅かに延伸されただけで砂洲には殆ど影響を 与えていない。 特異的な昭和２９年を除くと昭和３９、４４、４８年と、少なくとも １０年以上、おそらく１５年ぐらいの長きに渡って相模川の 河口砂洲はダム建設の影響を受けていない！！ この事実を無視して、神奈川県砂防海岸課は昭和２９年の 特異点とこの昭和４８年を比べて、漁港建設前の昭和４８年 以前の侵食が著しいので、以下に述べる漁港建設の影響は 無視できると詭弁を弄し、漁港建設による海岸侵食を否定 する！？！？ 次の航空写真から１５年ぐらいの長きに渡って安定していた 海岸および砂洲が茅ヶ崎漁港建設によって如何に激しく侵食 されていくかを事実に基づいて見ていきましょう。 AC／AB＝０．８６　で昭和44年と殆ど同じである。
	「昭和55年の砂洲」 特に西防波堤の建設が進展し、約150メートル程沖合いに 突き出したことから、西向きの沿岸海流（相模湾では反時計回り の急潮の発生が有名）の流れを妨げ、渦を発生して海岸および 砂洲を侵食し始めたと想定される。 AC／AB＝０．７５　と明らかに砂洲と柳島海岸の砂浜が一体 となって　後退しているのが認められる。
	「昭和60年の砂洲」 茅ヶ崎漁港の完成が昭和62年からすると、西及び東防波堤は 約350メートルに達し、岩礁まで一体となって海岸から約450 メートルの突堤が突き出したことに相当するから沿岸海流は その流れを大きく妨げられて、渦を発生し、砂洲と柳島海岸の 砂浜を大幅に侵食した。 航空写真で見る限り、柳島海岸では砂浜が消滅して護岸工事 が既に　始まっていると見受けられる。 AC／AB=０．６８　と柳島海岸にとってはこれ以上の侵食は 許せず、　見掛けは悪くとも護岸工事を開始せざるを得なかった と推察される。
	「平成2年の砂洲」 茅ヶ崎漁港の完成後も、河口の砂洲の海側からの侵食は 更に進展し、柳島海岸では護岸工事の強化が進められた。 一方、漁港の東側の海岸は、１）相模川からの砂の補給を 茅ヶ崎漁港に遮断された。２）東向きの沿岸海流がある時は、 西側と同様に渦による異常な侵食もある。　ことから砂浜の 侵食が進展することから、効果はともかく 東海岸南四丁目にヘッドランドの建設が始まっていることが 認められる。
	「平成8年の砂洲」 平成8年の航空写真で見ると、河口砂洲の後退を防止する ために、柳島海岸から平塚方向に突堤を建設するも、河口 砂洲の後退は防止出来ていない。 柳島海岸では更なる護岸の強化が始まっており、世界で最も 高価な護岸工事かと思える豪華版であり、一見の価値あり。 （予算は？　負担者は国？県？茅ヶ崎市？） 次に、鳥の視点から、地上へ降りて観察したい。
	「平成17年5月湘南大橋から見た河口砂洲」
	「平成17年5月柳島海岸から見た河口砂洲」 平塚方面へ突き出した突堤の建設でも、海側からの砂洲の 侵食を防止出来ていない。
	「茅ヶ崎漁港の西側海岸の侵食」 年々侵食は進んでいる。
	「茅ヶ崎漁港の東側海岸の侵食（１）」 コメントしようが無い。
	「茅ヶ崎漁港の東側海岸の侵食（２）」 コメントしようが無い。
	「茅ヶ崎漁港の東側海岸の侵食（３）」 コメントしようが無い。 敢えてコメントすれば、 「海の民が、海を荒らす！」 のは是非避けたいものです。
	「茅ヶ崎海岸の護岸工事の強化」 茅ヶ崎海岸の侵食対策費について神奈川県にお聞きすると、 国庫補助事業（８９．５億円）を除く平成２１年度までの県単独 事業として （但し、殆どが昭和４７年の茅ヶ崎漁港　建設再開以降に発生） 　茅ヶ崎海岸（内訳：ヘッドランド、消波堤工、突堤、養浜） 　　　　　　　　　　６４．１億円 　藤沢海岸 　　　　　　　　　　３４．８億円 　平塚海岸 　　　　　　　　　　２１．６億円
	「世界で最も高価な護岸工事？（１）」 柳島海岸の護岸の前に護岸を守るための前護岸とも言うべき 消波堤が天然石をふんだんに使って建設が進められている。 （詳細は　湘南海岸の定点観測　の中の「茅ヶ崎漁港の西側」を 　参照下さい。） ここで、再認識すべきは、 ・健全な砂浜こそ、最強の護岸であり、環境にも優しい。 ・健全な砂浜は、長年に亘る微妙なバランスで成り立っており、 　安易な人工物（ここでは茅ヶ崎漁港）建設によっていとも簡単に 　破壊されてしまう。
	「世界で最も高価な護岸工事？（２）」 ２００１年末の茅ヶ崎漁港組合員　８５名　に対し、 　漁港建設費　　　　　　　　　　 　：３４．６億円（06.5.15.に修正） 　国を除いた県の侵食対策費　 ：６４．１億円（平成２１年度まで） 　 合計　約１００億円＋国庫補助事業費！！ 　（組合員１人当たり　１億数千万円！！）
	「世界で最も高価な護岸工事？（３）」 世界で最も高価な護岸工事は現状で全て完了か？？ 現在の侵食状況から見ると、茅ヶ崎海岸全体にこの護岸工事が 拡大するのではないかと懸念される！！ 場当たりの一時しのぎではなく、抜本策を期待したい！
	「ブラックユーモア？？ 」 ２００１年（平成１３年）５月撮影の茅ヶ崎漁港に掲示された看板 は歌う！！ 　茅ヶ崎漁港海岸環境整備事業 　　国土の保全と、あわせて国民の休暇リクリエーションの場と 　　して、快適でうるおいのある海岸をつくるため、整備をおこな 　　っています。 　　　　　　　　　　　　　　　　　茅ヶ崎市　市民経済部　農政課 これだけの海岸侵食を引起した茅ヶ崎市は何をやるのか？
	「茅ヶ崎漁港海岸環境整備事業」とは？（１）」 ２００４年４月、傾斜護岸建設を名目にして、総工事費　２．５億 円で茅ヶ崎漁港海岸公園が完成！！ 茅ヶ崎漁港という人工物建設によって自然の砂浜が大幅に 侵食・破壊された所に、人工の海岸公園を建設して海岸 環境整備事業とは！？！？
	「茅ヶ崎漁港海岸環境整備事業」とは？（２）」 茅ヶ崎漁港海岸公園の海側に設けられた傾斜護岸！ ここまで、砂浜が後退することを想定しているのか？
	「茅ヶ崎漁港海岸環境整備事業」とは？（３）」 本当の「茅ヶ崎漁港海岸環境整備事業」とは？ 　・南防波堤を設置している岩礁をベースに沿岸海流の流れを 　　妨げない　楕円形の人工島を建設し、そこに「新茅ヶ崎魚港」 　　を新設する。 　・茅ヶ崎漁港の撤去 　・人工島と陸地の連絡は、沿岸海流への影響を抑えるべく極力 　　橋脚を少なくした桟橋かフロートとする。 茅ヶ崎漁港建設の海岸保全に対する悪さ加減を考えると、 平塚新港・片瀬漁港は直ちに撤去し、「新茅ヶ崎魚港」に 吸収すべきで、これを放置すると 環境面と国民負担からして大きな問題を将来惹起することは 火を見るより明らかである。

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