「相模湾なぎさシンポジウム」第１回〜３回を拝見した感想

＜　松沢知事の発言要旨とそれに対するコメント　＞

・山、川、海の土砂の流れを連続してとらえた総合的な対策が必要だと考えている
ところであります。

・ダムや堰に堆積した砂を浚渫して、ダムの下流へ置いて洪水時に下流へ流す、
いわゆる「置き砂」などの手法が挙げられます。

・ （注：シンポジウムの最後の締めでの発言）

伏見さんがおっしゃったように、砂のうまい移動である程度は解決できたとしても、
やはり絶対的に考えるとダムでたまってるような上流の山、川の砂を持ってこなきゃいけない。
それはだれもわかってるんですね。
それで今年の浚渫のお金が七十何億でしたっけ、それぐらいしか使ってないと。
こんなんじゃ足りないじゃないかと。それもわかるんです。
ただ、浚渫を相模湖の上の方でやってるんですね。企業庁がやってます。

ただ、浚渫をした泥というのはもうヘドロも入っているし、木も入ってるし、もうこれ
すぐには湘南海岸なんかに持ってこれるわけがないんですね。
ですから水も含んでますから。まずそれを平地に寝かせて水分をとらないと重くてダンプの
運ぶ量が２倍も３倍にもなっちゃう。そういう土地が確保できるかというと、相模湖は谷に
つくった人工湖ですから、要するに湖の周りに平地がほとんどないんです。この平地を確保
するということ。この一度浚渫した土砂を寝かせなきゃいけないですからね。

それすら今ままならないんです。難しいんです。
それで今度比較的水分がとれた砂をすぐ運べるかといったら、先ほど言ったように色んな
ゴミからまざっていますからふるいにかけなきゃいけないんですね。その機械は幾らかかるのかと。
それも行政はお金がかかってくるんですね。

ですから簡単に相模湖の砂を取って運べばいいんじゃないかと言いますが、さまざまなクリアを
しなきゃいけない問題が同時にあるということも皆さんぜひとも御理解をいただきたいんです。
ですから県の職員もそういうこと、上流でもどうにか海に砂を運ぶようにできないかということで
いろんな闘いをしているということを御理解いただきたいんです。
さぼってるわけでは決してないんです。

それと例えばスラリー輸送というのですか、もう管をつくっちゃえと。下水道を上水道と
同じように相模湖からどーっと相模湾まで管をつくっちゃえという御意見も県議会でも
よく出るんですね。それを本当にこれ50キロありますから、やるとしたらどれだけの公共
事業費でお金を使うのかというのも計算しなきゃいけないんです。今の公共事業費の中で
それが出せるのかということも詰めていかなければいけない。

こんなことで県もいろんな今情報を集めて検討させていただいていますので、きょう特に宇多さん
からもさまざまな御示唆もいただいたので、そういう一つ一つのプロジェクトができる、どうなのかと、
あるいは時間的にどれぐらいかけなければいけないのかということも含めて検討させていただきたいな
というふうに思っております。

[ コメント ]

「置き砂」の困難さを強調されているが、「スラリー輸送」という発想をお持ちであれば話は簡単で、
ダムで溜め込んだ土砂を何も海岸まで５０キロも輸送する必要は無いのを県は何故判らないか
不思議に思います。

ダムで溜め込んだ土砂を「スラリー輸送」でダムの下流に数十メートル流せば、流れが海岸まで
運んでくれるでしょう。

勿論、言わば欠陥ダムで土砂と一緒に落ち葉なども溜め込んだ所為で、一部がヘドロ化しているのは
事実だと思うので、当初は「スラリー輸送」は大雨で増水した時に限られるが、ヘドロの排出がある程度
進めば、下に引用したビーチパーククラブネットワークの井坂啓已事務局長のお話の如く

毎日いつでも一定の秩序ある循環を再現するためにダムが無かった時を再現するようにダムの底から
溜まってくる落ち葉を含んだ土砂と水質悪化しやすい底部の水をダムの下流へ５０キロではなく、数十メートル、
余程の渇水期を除いて定常的に「スラリー輸送」すれば余計な浚渫費用は不要となり、海岸への
砂の補給をダンプで何千台などの馬鹿な話に付き合う必要もなくなる！！

勿論、広いダムに貯まる土砂を「スラリー輸送」の吸い込み口へ誘導するためにダムの水位を上下させる等
の工夫は必要でしょうが。

＜　宇多高明理事の発言要旨とそれに対するコメント　＞

・きょうのお話は、例えば漁港がこの砂をとめるからいけないんだとか、そういう短絡的　な局所的な話
をするつもりはありません。

そういうことではなくて全体のバランスが崩れた。人間の体でいうと成人病みたいな現象が起こっていますので
総括的なお話をします。ここで一番侵食の大きなもとになったのは、ここの須賀漁港から出入りする船が
あるんですが、ここのところで人身事故が起こるんです。船が転覆するわけですね。
ここも非常に危ない場所で、そのためにこの航路を掘らなきゃならなかったと。掘った砂は、今でこそここに
置いていますが、昔ずっと深い方に捨てにいった時代があります。それはもう国土の損失になります。
今はやってませんけれども。そういう事情もありました。

それから相模川から下った砂は、大体大磯の方面と東側に二つに分かれます。ほぼ同じ量流れています。
大体どのくらいかというと大型ダンプが１年当たり、こちら側に大体4,000台、要するに勤勉賞をいただく
とすると、大体大型ダンプ10台が、正月も夏休みもなく毎日毎日上流から運んできてここにさっと置いて
いったと。いい材料ですけど。反対側も同じです。そんな状況でこのビーチが長い間かかってできてきたわけです。
その砂の流れが今はほとんど完全に絶たれています。そこが問題の始まりです。

・これが平塚新港で、本来は中の須賀漁港が非常に危険なので、こう通るときここに浅い
のがあるのがあるんですね。一つ見えると思いますけど。ここで何人か亡くなっていると思います。
それでショウザブロウ丸とかいろんな船が出入りしているのと、ここは遊漁がここから大体戻ってくるという。
夏場なんかですとこの利用がすごく盛んで、ここのところへ駐車場を置いて、ここで船を乗っていかれる非常に
いい場所なんですが、ここのところがそういうわけで少し危ない。
いつもここのところは水産の方では悩ましいので何とかしようというので、ここを今、中導流堤といって
川の流れを分ける工事を少ししてます。

今これがあるとどうして砂が来ないかというと、実は、川から出た砂は、この沖合にこういう平べったいテラス
というのがありまして、水深大体４メーターぐらいです。非常に大きく突出してるんですが、川から洪水で運ばれた
砂は、一たんこのテラス外側にゆっくりとたまります。決してずっと大島の方まで流れていっちゃうわけじゃなくて、
粒の粗い砂というのは陸地にへばりついていますので、ここへたまっちゃうわけ。その砂がその後に
こちら側とこちら側に配分されて流れるんですが、
今ここの斜めの防波堤があるためにこちら側にはほぼ来ないで、こちら側経由でここの砂州に戻る。
あるいはここのところへ一たん戻って、ここからこういうふうに中へ戻ろう、戻ろうという力が働いています。
ちなみに、ここへ流れてくる土砂というのは、よく覚えておいてほしいんですが、私1949年生まれですけれども、
そのころは大変毎年たくさんの台風が来てたくさんの方が亡くなった。

例えば伊勢湾台風だと5,000人の方が一挙に死んじゃったというのを覚えていると思いますが、
あのときたびたび洪水が来たのを私も覚えているのですが、あれを今から考えてみると、洪水で流れる
一遍に何千トンという水が、毎秒3,000トンという水が流れ下るのですが、砂の運ばれる量が二乗に比例
してますので、例えば100トンというのと3,000トンというのでは二乗していただければすごい違いが9,000倍、
ほぼ１万倍ぐらいの運ぶパワーの違いがあると。

ただ、洪水は、今度は氾濫すると危険ですから、何とか防ごう防ごうというふうにして我々日本人は
一生懸命やってきたわけです。それから飲み水も足りないから上流にダムをつくると。
だから別に海岸侵食を起こしてやろうという悪気があってそういう工事をしたわけでは全然なくて、
人それぞれの目的に合わせてやってきたのですが、少し影の部分がある。
それが海岸侵食になって今あらわれている。

・昔の写真だけちょっとごらんに入れたい。このヘッドランドをつくる前と茅ヶ崎漁港できる前です。
このころは河口砂州も立派で、ここに白い筋が見えますけれど、ここのところから砂が入ってこう流れていた。
こうぐにゃぐにゃ曲がっていますけれども、ここはただ単に通過していただけ。しかし、
ここのところで漁港が欲しいというので防波堤をつくると砂の流れがとまってしまう。

これもさっきから言いますけど、ここへ侵食を起こしてやろうと思ってつくってるわけじゃなくて、
ここの安全を確保するためにしようがなくつくったんですが、結局のところ、こっちへ流れている砂が
ここでインターセプト、止まっちゃいますからこちら側で侵食が激しいと。そうするとここの茅ヶ崎の中では
侵食がどんどんどんどん進むことになるわけです。

[ コメント　]

この方は大変な海岸工学の専門家と自他共に認める人であるが、旧建設省に居た所為か海岸侵食から
見ると明らかに欠陥ダム・欠陥漁港・欠陥港湾を造っているのに、原因者はそれなりの理由があるので、
仕様がないと割り切り、その欠陥を是正する抜本策を提示している様子は皆無である。

従って、行政に与えるアドバイスは抜本策を横に置いた当面の取り繕い（弥縫策）に終始して、海岸侵食に
対する住民の不満へのガス抜きを勤めているのでは思える事もある。

こんな人物が何故毎回「相模湾なぎさシンポジウム」で基調講演をやるのか理解に苦しむ。

砂防海岸課と同様に海岸侵食が解決してしまうと仕事が無くなるためかと邪推してしまう。

湘南海岸の茅ヶ崎漁港を始めとした平塚新港、片瀬漁港の欠陥漁港に加えて、第２回シンポジウムでの
秋谷海岸の久留和漁港、三浦海岸の北下浦漁港も然り。

平塚新港を例に挙げれば、相模川では「その砂の流れが今はほとんど完全に絶たれています。
そこが問題の始まりです」と言いながら、「本来は中の須賀漁港が非常に危険なので、こう通るとき
ここに浅いのがあるのがあるんですね。」と流れてきた砂の悪影響を強調し、平塚新港の必要性を弁護される。

平塚新港は平塚海岸への砂の補給を遮断し、沖へ突き出した防波堤により海岸侵食を引き起こしている
欠陥漁港である！

では、必要性を弁護された平塚新港の現状は？
http://www.scn-net.ne.jp/~shonan-n/news/030913/030913.html

を見ると、漁民からしても利用価値の低い欠陥漁港！

砂浜地帯に従来スタイルの港（沖へ長大な防波堤を突き出して、漂砂を遮断し、沿岸海流を遮って
海岸侵食を引き起こす欠陥漁港・欠陥港湾）を止めて、例えば水深２０ｍ以上の沖合に人工島方式の
漁港や港湾を建設したら、海岸侵食は殆ど解消できると思えるが、

かかる提案には見向きもしない。

第３回　相模湾なぎさシンポジウムでのパネルディスカッション報告13頁下段から16頁上段を見ると、
海洋工学と言うよりも海岸工学では波が砕ける所から砂浜までしか視野に入っておらず、
欠陥漁港・欠陥港湾の中身が理解されておらず、その結果侵食対策も抜本策を横に置いた
当面の取り繕い（弥縫策）に終始しているのが実態である。

＜参考＞

http://homepage2.nifty.com/shirahama_morio/index.html

その中の
http://homepage2.nifty.com/shirahama_morio/linkpage1.html
http://homepage2.nifty.com/shirahama_morio/sinshoku.html

＜　堀由紀子新江ノ島水族館館長の発言要旨とそれに対するコメント　＞

・藤沢市では新漁港もできる予定になっておりますけれども、非常に環境にやさしい、自然石を使った
ビオトープなどもつくったり、その自然に逆らわない雰囲気の中で。

[ コメント　]

新漁港の防波堤の防御にテトラポットなどの異形ブロックを使用せずに、高価な自然石を使えば、
隣接する砂浜が侵食されても自然に逆らわない雰囲気の中で、非常に環境にやさしい？？

＜参考＞

http://homepage2.nifty.com/shirahama_morio/index.html

その中の
http://homepage2.nifty.com/shirahama_morio/beachwatcher.html

の中の片瀬漁港の西側の片瀬西浜海岸の項、参照

＜　ビーチパーククラブネットワークの井坂啓已事務局長の発言要旨とそれに対するコメント　＞

・海岸侵食問題というのは、産・官・民というのは皆さんもうはっきりわかられている思いますので、
そこでちょっと山の方のことを調べてみたのですけれども、そこではダムの堆積土砂の問題があるん
ですけれども、相模湖での堆積土砂の浚渫費用ですね。
平成14年から16年までのトータルで61億2,900万円の支出があったんです。
しかしながら、採取された土砂が海岸には運ばれずに、建設骨材のセメント用などに売られたりしてるんです。
このようになってまして、土砂移動の連帯はほとんどなされてない状態なんです。山間部の藤野地区では、
ダムに土砂堆積が進んでしまいまして、雨水の容積量が圧迫してしまって豪雨時にオーバーフローによる
家屋浸水の危機があるということなんです。

一方、海岸部では山間部からの土砂供給が絶たれて海岸侵食が始まり、先ほど冒頭で説明したとおり、
その養浜目的で設置されたヘッドランドで毎年事故が起きて死亡者が発生しています。
重複しますけれども。でも両方ともダムでブロックされた土砂が原因して家屋や人命が危機にさらされていると
いうことを強く知ってほしいんです。連帯のとれた土砂問題の解決がされてないということを認識してほしいと思います。

湘南海岸の平成14年から16年までの養浜費用の合計というのが8,435万円というのが出てました。
だけども、これは大体砂の移動で東側に動いた西の砂をまた西に戻したりとか、施設にたまった砂を取ってるだけとか、
海岸内部で細々とやりくりしてるだけで、じり貧でふえることにはつながらないんですね。

土砂も来ないし、土砂に含まれる栄養素も山間部から届かないから、浜はやせるし、魚もとれなくなっています。
富山の磯が埋まって大問題になったように、堆積したダムの土砂を一度に膨大な量を運び込めばやはり弊害が
発生すると思います。

人間の体をめぐる血液のように毎日いつでも一定の秩序ある循環を再現しないとだめだと思いますし、
そういうことを補助するようなパイプ方式なんかもぜひ検討してほしいと思います。

[ コメント　]

まともな発言は民間からしか出ていない！？

マニフェストで約束された松沢知事が本気になって取り組まないと成果は危ぶまれる！！